竹馬は今でも面白い?「乗れない」が遊びになる昔ながらの外遊びを再評価
竹馬は、今でも十分に面白い外遊びです。速さや派手さではなく、数歩進むまでの試行錯誤そのものが遊びになるからです。
ただし、誰にでも気軽に渡せばよい道具ではありません。転倒を前提に、体格に合う製品と安全な練習場所を選び、大人が見守る必要があります。
この記事で分かること
- 竹馬が現代でも遊びとして成立する理由
- 昔の竹馬と現代製品の違い
- 子どもと大人、それぞれの向き不向き
- 購入時に確認したい高さ、耐荷重、安全表示
- 初めて乗るときの練習方法と注意点
結論:竹馬の価値は「自分で調整して乗れるようになる過程」にある
竹馬の面白さは、完成された動きを受け取るのではなく、自分の体で正解を探す点にあります。
最初は竹馬だけが前に倒れ、次は足が台から離れます。そこで手の位置、体の傾き、左右の重心移動を少しずつ変える。偶然の一歩が二歩、三歩につながった瞬間、遊びの手応えが生まれます。
文部科学省の「幼児期運動指針」は、幼児期に経験したい基本動作として「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」を挙げています。竹馬は、両手で支柱を扱いながら足場に乗り、重心を移して進むため、この三つが重なりやすい遊びです。幼児期運動指針でも、特定の運動だけに偏らず、多様な動きを経験することが重視されています。
とはいえ、竹馬に乗れば特定の能力が自動的に向上すると断言するべきではありません。現代的な価値は、バランスを崩す、降りる、姿勢を直す、もう一度試すという一連の動きを、遊びの中で何度も経験できることにあります。
ここがポイント: 竹馬は移動の便利さを競う道具ではありません。うまくいかない理由を体の動きから探し、少しずつ歩数を増やす過程に面白さがあります。
竹馬はいつから遊ばれてきたのか
竹馬は一時的な流行ではなく、少なくとも江戸から明治にかけて子どもの外遊びとして定着していたことを資料から確認できます。
文化遺産オンラインには、東京国立博物館所蔵の「子供竹馬遊」が江戸~明治時代、19世紀の錦絵として登録されています。玉川大学教育博物館の解説でも、三代歌川広重による明治元年の作品として紹介され、竹馬が当時の動的な屋外遊戯の一つだったことが読み取れます。
現在よく思い浮かべる竹馬は、2本の長い棒に横木の足場を取り付け、両手で棒を持って歩く形です。材料が身近だった地域では、竹と縄などを使って自作する余地もありました。名護博物館の「昔のこどもあそび」も、竹馬を身近な材料で工夫して作った遊びの一例として紹介しています。
当時の価値は、市販品の性能だけで決まりませんでした。
- 材料を探す
- 足場の位置を決める
- 乗り方を教え合う
- 歩数や距離を競う
- 壊れた部分を直す
作るところから遊びが始まり、地域の子ども同士で技能が受け継がれる道具だったのです。
昔の竹馬と現代の竹馬は何が違う?
最大の違いは、素材の均一性と調整のしやすさです。
昔ながらの竹製は、自然素材ならではの手触りや、自分で作る面白さがあります。一方、竹の太さ、節、乾燥状態は一本ずつ異なり、割れやささくれ、足場の固定状態を使う人が確認しなければなりません。
現代の市販品には、スチールパイプや樹脂部品を使い、足場の高さを段階的に変えられるものがあります。補助脚付きの製品もあり、最初の乗り降りを練習しやすくなりました。ただし、製品ごとに対象年齢、耐荷重、調整方法が違います。「金属製だから安全」「補助脚があるから転ばない」とは限りません。
| 比較軸 | 昔ながらの竹製 | 現代の市販品 |
|---|---|---|
| 当時の魅力 | 身近な材料で作り、直しながら遊べる | 完成品をすぐ使え、高さを調整しやすい |
| 現代での実用性 | 工作体験を含めると価値が高い | 反復練習や家族での共用に向く |
| 維持のしやすさ | 割れ、ささくれ、縄や足場の緩みを細かく点検する必要がある | さび、変形、固定部品や樹脂部品の劣化を確認する |
| 入手しやすさ | 材料と製作技術の確保が必要 | 玩具店、運動用品店、通信販売などで探しやすい |
| 向いている人 | 工作と昔の暮らしの体験を一緒に楽しみたい人 | 高さ調整や扱いやすさを優先して練習したい人 |
現代の遊びと比べて何が新鮮なのか
竹馬は、失敗と成功の境目が自分の感覚として返ってくる遊びです。
画面や機械が判定しない
点数表示も自動補助もありません。前に進めたか、安定して止まれたかは、足裏、腕、視線の感覚で分かります。道具の構造が単純なので、失敗の原因を自分で考えやすいのも特徴です。
同じ道具でも課題を変えられる
数歩歩けるようになった後も、目標を細かく設定できます。
- その場で安定して立つ
- まっすぐ5歩進む
- 決めた線で止まる
- コースをゆっくり回る
- 足場を少しだけ高くする
足場を高くすれば面白くなるわけではありません。低い位置で歩く、止まる、安全に降りるところまで習得するほうが、遊びの幅は着実に広がります。
世代差が小さい
ルールを長く説明しなくても、大人が支え方を見せ、子どもが試せます。かつて遊んだ大人も、初めて触る子どもも、「まず一歩」という同じ目標を共有できる。この単純さは、世代をまたぐ遊びでは強みになります。
向いている人・向いていない人
竹馬は、結果を急がず小さな変化を楽しめる人に向いています。
向いている人
- できなかった動きが少しずつできる過程を楽しめる
- 親子や友人同士で教え合える外遊びを探している
- 短い時間でも体を動かすきっかけが欲しい
- 昔の遊びを、工作や文化体験と一緒に知りたい
- 電池や通信を使わない単純な道具に魅力を感じる
手を出しにくい人
- 安全に練習できる平らで十分な広さの場所がない
- 子どもの練習に付き添える大人がいない
- 転倒リスクのある運動を避ける必要がある
- すぐに勝敗や強い刺激が得られる遊びを求めている
- 収納場所を確保できない
既往症やけがなどで運動に不安がある場合は、自己判断で無理に始めず、必要に応じて医療の専門家へ相談してください。
安全に遊ぶための準備
竹馬は地面から足が離れるため、転倒への備えが欠かせません。特に子どもが使う場合は、製品選びと環境づくりを練習より先に行います。
消費者庁は遊具からの転落事故について、対象年齢を守ること、6歳以下には保護者が付き添うこと、雨で滑る状況や破損した遊具を避けることなどを挙げています。竹馬専用の注意喚起ではありませんが、高さのある道具で遊ぶ際にも共通する重要な視点です。消費者庁の転落事故防止情報を確認しておくと、場所と服装を選ぶ基準が明確になります。
場所を先に整える
- 車や自転車が来ない場所を選ぶ
- 坂、段差、側溝、水辺の近くを避ける
- 濡れた地面、砂利、ぬかるみでは使わない
- 人や物にぶつからない広さを確保する
- 初心者は壁や丈夫な手すりを支えにできる場所から始める
壁を使う場合も、窓ガラスや倒れやすい柵は避けます。転倒した先に角のある物がないかも、乗る前に確認しましょう。
服装と道具を確認する
- 動きやすく、裾やひもが引っ掛かりにくい服を選ぶ
- 脱げやすいサンダルを避ける
- 水筒、かばん、首から下げる物を外す
- 必要に応じてヘルメットや肘・膝の保護具を検討する
- 使用前に棒、足場、固定部、補助脚を点検する
保護具を着けても、安全な場所選びや見守りの代わりにはなりません。
初心者が乗れるようになる練習手順
最初の目標は長く歩くことではなく、安全に乗って、安全に降りることです。
1. 足場を低くする
高さを調整できる製品なら、説明書で認められた範囲の低い位置から始めます。左右の足場を同じ高さに固定し、緩みがないことを確認してください。
2. 支柱を体の前へ少し傾ける
竹馬を直立させたまま体だけ前へ出すと、足が台から外れやすくなります。支柱と足を一緒に動かせる姿勢を探します。
3. 片足ずつ乗せる
丈夫な壁や補助者を使い、片足、もう片足の順に足場へ乗せます。補助者は竹馬を急に引っ張らず、本人が体重を移す時間を確保します。
4. 「手だけ」「足だけ」で進めない
右の竹馬を動かすときは右手と右足、左を動かすときは左手と左足を一緒に前へ送ります。歩幅は小さくて構いません。
5. 降り方を繰り返す
バランスを失ったら、無理に立て直そうとせず、足場から前方へ足を下ろします。後方へ反り返る姿勢や、倒れかけたまま支柱にしがみつく動きは避けます。
疲れると足が足場から離れやすくなります。短時間で区切り、「あと一回」を重ねすぎないことも安全策です。
今買うなら、ここを確認したい
2026年8月時点でも、竹馬には竹製、金属製、補助脚付き、高さ調整式など複数のタイプがあります。価格だけでなく、使う人と場所に合うかを確認してください。
- 対象年齢:年齢だけでなく、説明書が想定する技能や使用環境も読む
- 耐荷重:大人が使う場合は特に重要。体重が上限内でも乱暴な使用は避ける
- 長さと足場位置:身長に合い、低い位置から練習できるか
- 固定方法:足場を工具なしで動かせるか、締め直しが必要か
- 補助脚:着脱方法と、使用できる練習段階を確認する
- 安全表示:対象年齢、注意事項、製造・販売事業者、STマークの有無を見る
- 交換部品:足場や固定部品を紛失・破損した際に取り寄せられるか
- 保管寸法:長い棒を倒れない状態で収納できるか
日本玩具協会によると、STマークは指定検査機関で玩具安全基準への適合が確認された玩具に表示され、対象年齢の表示も義務付けられています。STマーク制度の案内は、購入時の判断材料になります。
ただし、マークがあれば事故が起きないという意味ではありません。説明書どおりに組み立て、対象年齢と耐荷重を守り、使用前に破損や緩みを点検するところまでが一組です。
手作り竹馬は工作と遊びを分けて考える
竹と縄で作る体験には、市販品にない文化的な価値があります。一方、竹の割れ、節の位置、足場の強度、固定の緩みを判断する必要があり、初心者だけで完成させてすぐ乗るのは勧められません。
地域の博物館や体験施設など、材料と作り方を管理し、指導者がいる催しを利用する方法が現実的です。完成後も、ささくれや亀裂がないかを毎回確認します。
FAQ
大人でも竹馬に乗れる?
大人の使用を想定し、体重が耐荷重の範囲に収まる製品なら可能です。子ども用製品を見た目だけで判断して使わず、メーカーの表示を確認してください。長さだけでなく、握る位置、足場の幅、保管場所も選択基準になります。
高い竹馬のほうが上級者向けで面白い?
高さは難度と転倒時の危険を同時に上げます。歩く、止まる、方向を変える、確実に降りる動作ができてから、説明書の範囲内で一段ずつ調整するのが基本です。
室内でも練習できる?
一般家庭の室内は、天井、照明、家具、窓、床の傷、階下への騒音といった問題があります。製品が屋内使用を想定している場合を除き、安全な屋外の平坦な場所や、管理者が使用を認めた施設を選ぶほうがよいでしょう。
中古品でも大丈夫?
外見だけでは金属疲労、ひび、固定部品の摩耗を判断しにくく、説明書や交換部品が欠けている場合もあります。中古品は価格よりも、履歴、部品の状態、メーカー情報を確認できるかが重要です。安全に確信を持てないものは使用しないでください。
まとめ:低い一歩から始めるなら、竹馬は今も面白い
竹馬は、昔の形を保存するだけの遊びではありません。手と足を合わせ、重心の位置を探し、できる歩数を少しずつ増やす。その素朴な仕組みは、便利な遊具が増えた現在でも古びていません。
価値があるのは、次の条件を整えられる場合です。
- 体格と年齢に合う竹馬を選べる
- 平らで障害物のない練習場所がある
- 子どもには大人が付き添える
- 高さよりも乗降と短い歩行を優先できる
- 毎回、足場や固定部の状態を確認できる
最初に数えるべきなのは、足場の高さでも最高記録でもありません。自分で安全に降りられた回数です。それが安定してから次の一歩へ進むことが、竹馬を長く面白くするいちばん実用的な遊び方です。
